駆け出しコンサル日記。

働いていく上で役にたちそうな事柄を、備忘録的にまとめていきます。(データ分析、財務分析、金融etc)

アンパンマンは偽善者?

よく聞くヒーロー像として、“アンパンマン”型と“ルパン三世”型があります。
“アンパンマン”は自分を犠牲にして弱者を助けるヒーロー。

“ルパン三世”は他人(富める人や悪い人)を犠牲にして弱者を助けるヒーロー。


どう考えても“アンパンマン”型のヒーローの方が崇高に聞こえるし、素晴らしい取り組みにも見えます。彼のおかげで世界は平和になるのかもしれません。

 

 

 

しかし、私は“アンパンマン”型のヒーローを両手を挙げて肯定出来ないのです。
“アンパンマン”や彼を全肯定する人々は、彼の行いで不幸になる人がいない、と思い込んでいるからです。

仮に、カバオ君の町にはパンを無料で配るNGO団体が毎週やってくるとします。この団体が配れば配るほど、町のパン屋やそれに準ずる飲食店の売上はガタ落ちです。きっと店主やその子供達は貧乏を強いられている事でしょう。更に、市場の効率性など一向に気にかけないアンパン野郎が本気を出して配りだした日には、需要と供給のバランスはめちゃくちゃです。パン屋が経営していけなくなれば、町からパン屋が消え*1、住民達は好きな時にアンパン、食パン、カレーパンが自由に食べられなくなります。

それでも、“アンパンマン”は正義なのでしょうか。

 

この例はずいぶん極端ですが、“アンパンマン”がこの悲劇の一手を担っている気がしてならないのです。

 

 

 

 

折角なので、もう少し現実的な話もしたいと思います。
皆さんはフェアトレードについてどう考えますでしょうか。素晴らしいシステムだと思います。途上国と世界の効用に関しては*2

 

しかし、私達がフェアトレードチョコレートを買えば買う程、自国を蝕んでいる、その一手を担っている可能性も考えてみたいのです。

 

 

私は決して途上国支援を否定したりしません。もちろん個人的な心情では、助けないよりは助ける方が良いに決まっています。更に、CSRのように、企業のブランド価値向上には寄与しますし、LGのように途上国にブランドを売り込むという意味でも途上国支援の効果は絶大です。むしろ、日本の企業は出遅れているので、もっと支援するべきです。

 

 

私が問題にしているのは、アンパン野郎と同様、自己陶酔的に途上国支援を行う事です。

今まで安い値段で買っていたからこそ、今の私達の生活水準も物価も保たれています。いうなれば、搾取ありきのこの生活なのです。そこで、現在の価格に上乗せして現地の物を買ったらどうなるでしょうか。途上国が潤い、その分僕らの国から富みが流出していきます。物価が上がりつつも、上がった分は途上国に流れるので給料は増えません。

 

「世界の不平等は是正されるべきだ!!!」

という意見を否定はしません。僕らと、僕らの大切な家族や知り合いの生活を苦しめないのであれば。

 

「助ける事で精神面が豊かになる」という人がいますが、支援によって間接的に上がった物価で買い物をして、精神面が豊かになる人はいません。ただ値段が上がっただけです、

「途上国が豊かになる事で製品の品質が向上する」という人がいますが、その分人件費も上がる訳ですので、品質の良い製品を製造したければ、日本などで製造すれば済む話です。

「お金で幸せは買えない」という人もいますが、そういう人はどんなワンダーランドに住んでいるのでしょうか。

 

 

 

何度も言いますが、無償の愛の否定はしません。尊いものだと思います。しかし、その行為が誰かを傷つけている可能性があるという事を認識して、その上で行動しているのか。大学院で開発学を勉強している人と話をしていて、そんな考えにいたりました。

 
 
p.s. このブログは決してアンパンマンを否定するものではなく、可能性の一つを示してみただけです。その点をご了承ください。

*1:もしくは供給量の減少により、パンの値段が上がる。

*2:実際、Stiglitzは世界の不平等を是正する事で“世界全体”の効用は上がると言っています。