駆け出しコンサル日記。

働いていく上で役にたちそうな事柄を、備忘録的にまとめていきます。(データ分析、財務分析、金融etc)

埋没費用という考え方

経済学やファイナンスを使って世界を見ると、結構役に立つもんだなぁ、としみじみ思います。その一端を紹介していきたいと思います。そんな言葉知ってるよ、と言わずに、是非ともお付き合い下さい。

 

 

まず、食べ放題に行ったら、皆さんは元を取るべく死ぬほど食べるでしょうか。それとも、腹八分目で済ましておくでしょうか。

また、バスの1ヵ月乗車券を買ったら、ひたすら歩かずにバスを使うでしょうか。

英会話学校に月謝を払ったら、死んでも休まず行くべきでしょうか。



埋没費用(Sunk cost)という概念で考えてみたいと思います。
ちなみに、埋没費用とは「昔の出費」のことです。もう出費してしまって、埋まっちゃってるから、帰ってこない費用です。
経済学やファイナンスでは、「昔の出費/投資に捕らわれずに、効用が最大になる*1意思決定をしよう」というのが一般的です。


では、食べ放題の文脈ではどうなるでしょうか。
料金は固定されており、いくら食べようが食べなかろうが同じです。
だったら沢山食べた方がお得じゃん!という声が聞こえてきそうですが、そうとも限りません。要は、「効用が最大になる」選択肢を選ぶのが正解なのです。
元を取る為に吐くまで食べて、結局気持ち悪くなるならば、腹八分目に押さえて幸せに帰るのが良いですし、高い物(肉)を食べ続けるよりも食べたい物(デザート)を食べ続ける方が正解です。もちろん「死ぬほど食べた結果、元を取れた気分になって最高!」という方はこの選択肢を選ぶべきです。

 


では、バスの乗り放題券ではどうなるでしょうか。
最初に券を買ってしまえば、乗ろうが乗らなかろうが同じです。10回乗れば元を取れる、と考えても、料金が帰ってくる訳ではありません。であるならば、どう考えるのが正解でしょうか。もちろん、自分が幸せになる選択肢を選ぶべきであり、過去の出費に捕らわれてはいけない、とファイナンスでは考えます。
健康の為に歩きたいなぁ、と思ったら歩くべきだし、歩いた方が早ければバスは使いません。

英会話学校ではどうでしょうか。もちろん、夢を掴みとる為にも休まずに行くべきです。しかし、行く事自体にストレスを感じていたり、たまにはリフレッシュをする事で効率が良くなるならば、休む選択肢のが賢いということになります。行った結果得る勉強量と、休んだ結果得られる安らぎを天秤に掛けるべきであり、月謝は眼中に入れてはいけないという事ですね。


上の二つは極論であり、埋没費用なぞ考えなくても良いのかもしれません。しかし、例えば、ギャンブルで大金を注ぎ込んでいる時はどうでしょうか。損した分を取り戻そうと躍起になり、泥沼にはまってはいかないでしょうか。損切する事こそが一番の得になる事もあります。

 

 

埋没費用という考え方は私達に「過去に捕らわれず、たった今から手に入る嬉しさだけを考えよう。その選択肢を選ぼう。」という事を教えてくれます。
人間は合理的な存在ではありませんが、この考え方をもって意思決定をすると、意外に開き直った選択をする事が出来る様になると思うのです。是非、皆さんも埋没費用に捕らわれない意思決定を心がけてみてください。

*1:要は一番得になる