駆け出しコンサル日記。

働いていく上で役にたちそうな事柄を、備忘録的にまとめていきます。(データ分析、財務分析、金融etc)

イスラム金融①利子が無いってのは本当だけど嘘。時々ほんと。

イスラム金融には利子が無い、ということを知っている方は沢山いると思います。
実際、ムスリムのハウスメイト(アルコール大好き)は預金に利息が付く事を嫌います。それどころか、わざわざ利息分を募金しています。

利子を取れないのに金融としてやっていけるのか??という疑問は当然ですし、その答えも巷には溢れています。なので、巷に溢れていない情報を頑張って混ぜつつ、イスラム金融についてちょいちょい紹介していこうと思います。



まずイスラム金融の概念を捉える為に、彼らの行動原理は大きく4つに分類します。*1

 

  1. Profit-loss sharing (PLS):利益も損失もシェアしましょう。(←こいつがあるから、報酬や損失は固定されずに変動型になる)
  2. Materiality:現物で稼ぎましょう。(←こいつがあるから、現物の無いお金という物で金利を稼ぐ事が出来ない、と一応はなってる。また、プロジェクトファイナンスとの相性が良い理由の一つでもある。)
  3. No exploitation:搾取するのはやめましょう。(こいつのせいで、過度なリスクを追ったり、不確実な金融商品に手が出しにくくなってる。ちなみに、そういう物の事を”gharar”といいます)
  4. No financing of sinful activities:エッチな物や豚さん、アルコールやギャンブルには関われませんよ。



こんなに金融機関泣かせな縛りがあるなかで、イスラム金融の特徴として大事なのが
 ①PLS(profit loss sharing)

 ②無金利

です。

この2つから、とりあえず上記の疑問に答えるとすると、「①PLSという概念を巧みに利用して、②無利子という概念をとっぱらている」という感じです。

イスラム金融に”利子”はありません。しかし、ほぼ同じ機能を持つ別のもの*2があるので、利子のようなものはしっかりあります。ですが、無利子の預金口座もあるので、「時々ほんと」という訳です。

 



次回は上記の疑問をバランスシートの負債サイドから、その次は資産サイドから考えていきます。

*1:詳しくはEl-Hawary, D. and W. Grais (2003). Regulating Islamic financial institutions: the nature of the regulated", World Bank Publications.のp.5を参照して下さい

*2:interestでは無く、giftであったり